ブログ
2023.10.30
ジョイントマット 胃内異物摘出
糸島市・福岡市西区:かじ動物クリニックです。
今回のテーマは前回の続きで「ジョイントマット:胃内異物摘出」です。
動物はときに信じられないものを食べてしまいます。
生後2ヶ月齢、体重が800gのトイ・プードル君がジョイントマットを食べてしまって、吐いて、食欲がなくなっていました。
レントゲン検査、超音波検査により胃内にあることが確認されました。
そこで内視鏡下にて摘出を選択しました。
0.8kgの大きさでも内視鏡スコープは入ります!!!
ただ、胃はまだ小さいので内視鏡操作が難しいのです。。。
内視鏡下胃内異物の摘出にはいろいろな鉗子がありますが、
小さいジョイントマットは滑りやすく掴むことが難しいです。
そこで、W字型把持鉗子を使ってみると、しっかり掴むことができ、容易に摘出することができました!
W字型把持鉗子はコインやボタン電池などの平らな異物の摘出に使いますが、前端の爪が短くてW字形状となっています。
異物の大きさや材質によって、摘出方法が変わります。
もし、異物を飲み込んでしまったときは、どのくらいの大きさなのか、どのような材質なのかを教えてもらえると助かります!
ジョイントマットは誤飲が多いので、気をつけてくださいね☆
ワンちゃんも猫さんも食べてしまいますが、なぜでしょう・・・?
2023.10.01
ジョイントマット 誤食
糸島市・福岡市西区:かじ動物クリニックです。
今回のテーマは「ジョイントマット:誤食」です。
動物はときに信じられないものを食べてしまいます。
ジョイントマットは安価で、簡単に設置が可能で、また、汚れた部分だけ外すこともでき、お手入れも簡単なので、ペットがいる家庭ではよく使われるアイテムです。
でも、そのジョイントマットを食べてしまうことがあります。
以前にもこのブログで、猫さんが食べて腸閉塞を引き起こしたことを紹介しました。
今回は体重が0.86kgの生後2ヶ月のトイ・プードルくんが昨日から食欲がなくなって吐いているということで来院しました。
レントゲン検査では胃の中に黒い物体が確認されました。
このジョイントマットはスポンジみたいな素材で、中に空気が入っているので、レントゲンでは黒く写ります。
やっぱり、ジョイントマットは誤食が多いので、気をつけた方が良さそうですね!
次回はこの体重が1kgもないプードルくんから、どうやって胃の中のジョイントマットを取り出したかを紹介しようと思います!
2023.07.10
舌の線維性ポリープ(犬)
糸島市・福岡市西区:かじ動物クリニックです。
今回のテーマは「舌の線維性ポリープ(犬)」です。
犬において舌に腫瘍ができることがあります。。。
日頃から観察するところではないので、発見が遅れることが多いと思います。
12歳齢のシーズーちゃんが健康診断で来院しました。
口の中を見てみると舌に腫瘤が認められました。
摘出したところ、線維性ポリープでした。
線維性ポリープは歯石や噛み合わせなど、慢性的な刺激によって発生する良性の病変です。
したがって、摘出すれば予後は良好です!
しかし、再び慢性的な刺激が起きれば、新しい病変ができるかもしれません!
お口の中のケアが必要ですね。
難しいかもしれませんが、たまには舌も観察してください☆
2023.05.04
特発性三叉神経麻痺(犬)
特発性三叉神経麻痺
福岡市西区・糸島市:かじ動物クリニックです。
今回のテーマは「特発性三叉神経麻痺(犬)」です。
原因は不明ですが、急に口を閉じられなくなってしまう疾患です。
なので、水を上手に飲めなくなります。
アゴが閉まらないので、お水の器に大量のヨダレが貯まっていたりもします。
よく観察すると常に口が開いたままになっています!
(下顎の下垂)
急にアゴが開いたままになってしまい、ビックリするかもしれませんが、
落ち着いてアゴを動かしてみて、ちゃんと動くかどうか?痛みはないのか?
確認してみてくださいね。
この疾患では痛みはありません!
特発性三叉神経麻痺では舌を動かすことは可能なので、補助的に食餌やお水を与えることで
予後は良好です。
多くは約3週間で自然回復します。しっかりサポートしてあげましょう☆
2023.03.02
外傷性気胸
福岡市西区・糸島市:かじ動物クリニックです。
今回のテーマは「外傷性気胸」です。
外傷性気胸とは外傷によって胸腔内に空気が入った状態です。
胸壁と肺の間に空気が貯まってしまうので肺が膨らみづらくなり、呼吸が苦しくなります。
外傷性気胸には開放性気胸と閉塞性気胸があります。
開放性気胸は胸に穴があいてしまって、外から空気が入ってしまう状態です。
閉塞性気胸は肺や気管などに穴があいて、空気が胸腔に漏れてしまう状態です。
外傷性気胸の多くは交通事故で、ほとんどが閉塞性気胸といわれています。
交通事故で緊急に運ばれた雑種犬くんです。
大きな傷はなかったですが、元気はなく呼吸が苦しそうでした。
胸部レントゲン検査をおこなったところ、
気胸が認められました。
緊急的に胸腔に針を刺して(胸腔穿刺)により胸腔内の空気を抜きました。
何度か胸腔穿刺をおこない、第5病日には気胸は改善しました。
肺の損傷部位が修復されるまでの期間は通常3~5日といわれています。
外傷性気胸は適切なモニターおよび処置がおこなえば、一般的に予後良好です。
交通事故で大きな傷がなくても、内臓に異常を起こしている可能性がありますので、
当たり前ですが、急いで受診しましょう!
ヒトも、動物も、交通事故がない世界になってほしいですね。。。
2023.01.13
パイナップル 腸閉塞(犬)
福岡市西区・糸島市:かじ動物クリニックです。
今回のテーマは「パイナップルによる腸閉塞(犬)」です。
パイナップルは美味しいです♬
すご〜く甘い缶詰のパイナップルは子供のころ、ご馳走でした (^0^;)
たまに食べたくなりますよね。
さて、犬がパイナップルを食べても大丈夫でしょうか?
答えは栄養学的には何も問題ありません。
しかし、やはり不溶性線維が多すぎますので、消化ができません。
トイ・プードルくんが何度も吐いて、元気がなく食欲もないということで来院しました。
腹部超音波検査をおこなったところ、
小腸に異物が認められ、腸閉塞が確認されました。
緊急手術をおこない、取り出したものはパイナップルでした。
犬はパイナップルに多く含まれる不溶性繊維を消化できません。
ワンちゃんは、意外と噛まずに飲み込んでいますよね〜!
したがって、パイナップルを与えるときは小さく切ってからあげるようにしましょうね。
2022.11.16
若年性蜂窩織炎
福岡市西区・糸島市:かじ動物クリニックです。
今回のテーマは「若年性蜂窩織炎(犬)」です。
若年性蜂窩織炎は別名:若年性膿皮症とも呼ばれています。他にも若年性蜂巣炎、若年性フレグモーネ、仔犬の腺疫などといわれています。
名前の通り、若齢で発症し、典型的は3週齢から4ヶ月齢の子犬にみられます。
残念ですが、原因はわかっていません。
症状は急激な顔の腫脹が起き、特に鼻口部、口唇、眼瞼に認められます。
かわいい子犬の顔に・・・
他には下顎リンパ節の腫脹や耳の浮腫を伴う化膿性外耳炎があります。
50%の症例で発熱、食欲不振、関節痛などもあります。
治療は抗菌剤では改善することがほとんどなく、ステロイドが必要になります。
予後は良好ですが、重症例では湿疹の跡が残ることがあります。
子犬で急に顔に湿疹が出来たときは、早めに動物病院に連れていきましょう☆
2022.09.09
陰嚢ヘルニア(犬)
福岡市西区・糸島市:かじ動物クリニックです。
今回のテーマは「陰嚢ヘルニア(犬)」です。
陰嚢ヘルニアは男の子の病気で、犬においては稀です。
ヘルニアとは、身体の中の一部が本来ある位置からはみ出してしまう状態のことで、
陰嚢とは精巣を包む袋状のものです。
陰嚢ヘルニアとは、お腹の中のもの(腸や脂肪など)が陰嚢の中に入り込む疾患です。
通常は片側だけに起きて、一般的にお腹の臓器や脂肪がヘルニアの中に入り込むとしめつけられ、圧迫されます。なので、痛みが出るので元気がなくなることがあります。
1歳のヨーキーくんです。睾丸が大きくなって、元気がないということで来院しました。
身体検査をしたところ、左側の陰嚢部が明らかに大きくなっていました。
超音波検査によって陰嚢内に液体と正常な精巣(矢印)を確認し、
また頭側に腹腔内脂肪(矢印)が入り込んでいることを確認し、陰嚢ヘルニアとわかりました。
外科的整復術をおこない、無事に元気になりました。
たまには睾丸も見たり、触ったりしてあげてくださいね☆
正常がわかっていないと異常に気づきませんよ!
2022.08.05
学研の図鑑 危険生物