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ブログ

2022.11.16

若年性蜂窩織炎

福岡市西区・糸島市:かじ動物クリニックです。

今回のテーマは若年性蜂窩織炎(犬)」です。

若年性蜂窩織炎は別名:若年性膿皮症とも呼ばれています。他にも若年性蜂巣炎、若年性フレグモーネ、仔犬の腺疫などといわれています。

名前の通り、若齢で発症し、典型的は3週齢から4ヶ月齢の子犬にみられます。

残念ですが、原因はわかっていません。

症状は急激な顔の腫脹が起き、特に鼻口部、口唇、眼瞼に認められます。

かわいい子犬の顔に・・・

他には下顎リンパ節の腫脹や耳の浮腫を伴う化膿性外耳炎があります。

50%の症例で発熱、食欲不振、関節痛などもあります。

治療は抗菌剤では改善することがほとんどなく、ステロイドが必要になります。

予後は良好ですが、重症例では湿疹の跡が残ることがあります。

子犬で急に顔に湿疹が出来たときは、早めに動物病院に連れていきましょう☆

2022.09.09

陰嚢ヘルニア(犬)

福岡市西区・糸島市:かじ動物クリニックです。

今回のテーマは陰嚢ヘルニア(犬)」です。

陰嚢ヘルニアは男の子の病気で、犬においては稀です。

ヘルニアとは、身体の中の一部が本来ある位置からはみ出してしまう状態のことで、

陰嚢とは精巣を包む袋状のものです。

陰嚢ヘルニアとは、お腹の中のもの(腸や脂肪など)が陰嚢の中に入り込む疾患です。

通常は片側だけに起きて、一般的にお腹の臓器や脂肪がヘルニアの中に入り込むとしめつけられ、圧迫されます。なので、痛みが出るので元気がなくなることがあります。

 

1歳のヨーキーくんです。睾丸が大きくなって、元気がないということで来院しました。

身体検査をしたところ、左側の陰嚢部が明らかに大きくなっていました。

超音波検査によって陰嚢内に液体と正常な精巣(矢印)を確認し、

また頭側に腹腔内脂肪(矢印)が入り込んでいることを確認し、陰嚢ヘルニアとわかりました。

外科的整復術をおこない、無事に元気になりました。

 

たまには睾丸も見たり、触ったりしてあげてくださいね☆

正常がわかっていないと異常に気づきませんよ!

2022.08.05

学研の図鑑 危険生物

福岡市西区・糸島市:かじ動物クリニックです。

今回は番外編です。

「学研さんの図鑑:危険生物」写真提供させていただきました。

2年前にこのブログで紹介した「鼻蛭:ハナビル」の写真です。

図鑑に自分が撮った写真が載るのは嬉しいですね!

学研さんありがとうございました!

また、この危険生物図鑑はやっぱり勉強になりますし、僕にとっては生物の本なので、癒やしにもなっています♬

是非!みなさん読んでみてください!

応急処置のことも書いてありましたよ☆

2022.06.18

尿道内異物(芒)

福岡市西区・糸島市:かじ動物クリニックです。

今回のテーマは尿道内異物芒:ノギ)」です。

1歳齢のシーズーくんが昨日から血尿が出ているということで来院しました。

腹部エコー検査をおこなったところ、膀胱や腎臓は特に異常がありませんでした。

ペニスを見てみると、尿道出口に黒い物体が・・・

鉗子を用いて、そっと掴んで引っ張ると

芒が出てきました!

以前にも紹介しましたが、芒は皮膚から入り込んだり、今回のように尿道内入ったり、まれではありますが、恐いですね。。。

草むらの中に入り込んで、遊ぶのは避けた方が良さそうですね。

2022.05.13

スーパーボール 誤飲

福岡市西区/糸島市のかじ動物クリニックです。

今回のテーマは誤飲スーパーボール(犬)」です。

動物はときに信じられないものを食べてしまいます。

スーパーボールといえば、夏祭りの出店のスーパーボールすくいを思い出します。

すくって取れたときは体も心も飛び跳ねますよね!

しかし、スーパーボールを飲み込んでしまうと危険で、腸閉塞を起こすこともあります。

なので、飲み込んでしまったときは、動物病院に相談しましょう。

約3cmのスーパーボールで遊んでいて、飲み込んでしまったイタリアン・グレーハウンドくんが来院しました。

催吐処置をしましたが、スーパーボールを吐き出すことができず、内視鏡下摘出を実施しました。

バスケット型把持鉗子を用いて摘出しました。

胃内のスーパーボールを掴んでいる内視鏡画像です。

摘出したスーパーボールです。

実はスーパーボールやビー玉のような球形の異物は、内視鏡下での摘出するときに転がったり、滑ったりするので難しいのです!!

こういうときは、ちょっとコツがありますが、バスケット型把持鉗子が役に立ちます!

バスケット型把持鉗子の写真です。

しかし、注意点としてバスケット型把持鉗子は3.5cmまでしか開きませんので、3.5cm以上の球形のものはつかめません。。。

したがって、異物をたべてしまったときは、どのくらいの大きさなのか、またどのような形か、などを教えてください!

もし、食べたものと同じモノがあれば、持ってきてください!

摘出の仕方のヒントになりますので、持ってきてもらうと助かります☆

2022.04.01

汎骨炎(犬)

福岡県西区/糸島市:かじ動物クリニックです。

今回のテーマは汎骨炎(犬)」です。

7ヶ月齢のフレンチブルドッグくんが約3週間前より後肢をあげている(跛行)ということで当院に来院しました。

レントゲン検査をおこなったところ、

脛骨の髄腔の骨濃度の上昇(矢印)が認められました。

(骨の中まで白いということです)

痛みのない正常の脛骨と比べてみてください。

汎骨炎とは原因不明ですが、骨の内部で炎症を起こす疾患で、

一般的に大型犬、若齢(2歳未満)に多いといわれています。

まれに中型犬・小型犬でも発症することがありますので、

慢性的な跛行がある場合は鑑別に入れる必要があります。

汎骨炎は通常、2歳齢になるまでに完治(自然治癒)します。

なので、治療は痛みのコントロールです。

このフレンチブルドッグくんも消炎剤で痛みがなくなり、完治しましたよ。

ここで汎骨炎を診断するポイントは痛くない方の後肢のレントゲン検査をすることです!

左右の後肢のレントゲンを見比べて評価しないとわかりにくいですよね。

犬猫において、骨のレントゲン検査は品種によって骨の大きさや形が違うので、難しいのです。。。

ご理解いただければ幸いです☆

2022.02.16

犬の鼻腔内異物(綿)

福岡市西区/糸島市:かじ動物クリニックです。

今回のテーマは犬の鼻腔内異物綿です。

以前にも鼻腔内異物を紹介しましたが、最近多くなっているような気がしますので、ご報告します。

8歳齢のノーフォークテリアちゃんが2週間前より鼻が鳴るということで来院しました。

食欲や元気はあるのですが、食後や興奮すると鼻を鳴らすとのことでした。

診察中にも「フッフッ!」と鼻を鳴らして、また左鼻より鼻水、くしゃみもありました。

たまに鼻水に血が混ざっていることもあったそうです。

頭部レントゲン検査をしましたが、明らかな異常はありませんでした。

抗生剤による治療をしましたが、改善が認められないことから、鼻咽頭内視鏡検査をおこないました。

鼻咽頭内視鏡画像:左鼻腔にフワフワしたものがありました!(矢印)

*鼻咽頭内視鏡は上下左右が反転します☆

バイオプシー鉗子を用いて摘出しました。

 

1週間後には鼻を鳴らす症状は全くなくなり、くしゃみや鼻水も改善しました。

話をよく聞くと、いつもソファーのクッションをよく噛みちぎって遊んでいたそうです。

おそらく、遊んでいるときに、クッションを吸い込んでしまったのか?もしくは食べてしまって吐き出すときに鼻に入ってしまったのか?でしょう。

急に鼻を鳴らす、くしゃみ、鼻水が出たときは、まれかもしれませんが、鼻腔内異物も考えておきましょう!

ワンちゃんも「鼻うがい」できたら・・・・無理でしょうね💦フッ

2022.01.18

皮膚の形質細胞腫(犬)

福岡市西区/糸島市:かじ動物クリニックです。

今回のテーマは皮膚の形質細胞腫(犬)」です。

形質細胞とはプラズマ細胞とも呼ばれています。形質細胞はBリンパ球が最終段階まで分化した細胞です。この形質細胞が腫瘍化したものを形質細胞腫と呼びます。

犬における皮膚の形質細胞腫は老齢で発症し、発生部位は体幹、頭部や四肢で、特に耳や指先に多いといわれています。

肉球の間に発生した形質細胞腫(矢印)。

皮膚の形質細胞腫の多くは「赤いできものができた!」と気づいて連れてこられます。

細胞診をおこない、核が偏在した独立円形細胞が多数採取されると診断可能です。

皮膚の形質細胞の治療は外科手術により摘出で、予後は良好です。

 

たいていのワンちゃんは指先を触ると嫌がりますが、

肉球の間にも腫瘍ができることがありますので、日頃から肉球チェックもしましょう!

毎日、肉球を触って、褒めてご褒美をあげていると、徐々に慣れてくれますよ☆

2021.12.07

LGL:大顆粒性リンパ腫(猫)

福岡市西区/糸島市:かじ動物クリニックです。

今回のテーマはLGL大顆粒性リンパ腫(猫)」です。

リンパ腫とは骨髄以外のリンパ器官などの組織を原発とする腫瘍性増殖疾患のことで、猫さんに最も多くみられるガンです。

このリンパ腫の中にLGL大顆粒性リンパ腫があります。

猫のリンパ腫の7.5~15%がLGLであり、リンパ腫の中でも予後が最も悪いタイプです。。。

LGLの特徴はリンパ球の細胞質内に複数のアズール顆粒(赤紫色の顆粒)を持っていることです。

14歳齢の猫さんが約1週間前より食欲不振、吐くということで来院しました。

腹部超音波検査により腸間膜リンパ節が腫れていること以外は特に異常はありませんでした。

血液検査をおこなったところ、血液塗抹検査によりLGLの形態を示すリンパ芽球が多数確認されました。

(血液塗抹検査とは血液を薄くのばして、染色して顕微鏡で血球の形態観察する検査です。)

LGLの可能性があったため、麻酔下において腹腔内リンパ節や肝臓の細胞診検査をおこなったところ、血液検査と同様なリンパ芽球が認められました。

血液検査がきっかけでLGLと診断することができました。

 

今回の猫さんのように血液検査により腫瘍細胞が分かることがありますので、血液塗抹検査も重要な検査です!

血液検査には時間がかかり、待っていただかないといけませんが、とても有用な検査なので、ご理解をお願いいたします☆

2021.11.07

ジョイントマット:腸閉塞(猫)

福岡市西区/糸島市:かじ動物クリニックです。

今回のテーマはジョイントマット腸閉塞(猫)」です。

 

動物はときに信じられないものを飲み込んでしまうことがあります。。。

猫さんはたいていグルメなので、食べ物以外のものは食べませんよね。

しかし、最近猫さんで誤飲が多いのはジョイントマットです!

ジョイントマットは消化ができませんので、吐いて出してくれるといいのですが、

腸に流れて詰まってしまい、腸閉塞を起こすこともあります。

腸閉塞は超音波検査で見つけることができます!

ジョイントマットによって腸閉塞が起こした超音波所見。

緊急手術で摘出したジョイントマット。

猫さんを飼っている方は気をつけてください!

もし、食べてしまったときは動物病院に相談してください。

実は僕の飼っている猫もジョイントマットを食べたことがあります(^0^;)

猫さんはジョイントマットの食感が好きなのかな・・・?